ドラえもん

はははははは、絶対世間では評判悪いわ今日の放送(笑)。
このエピソードでのドラは悪ですよね〜、せっかく復元光線でいったん解決した話をたきつけて復讐しろとか言って。スパイセットに至ってはまごうことなき盗撮道具ですからね。教育なんかクソ食らえの勢い。


そもそも『ドラえもん』という作品の面白さは、教訓じみたお話ではなく、子供に夢を与えるだとかいうヨタごとでもなく、そもそも「日常の中の非日常性」ではなくてむしろ「非日常の中での日常性」を描くことにこそ藤子・F・不二雄漫画の本質があるということを認識しなければ『ドラえもん』の面白さを理解し説明することは出来ない。
不思議な道具それ自体の内容よりも、それを通じて繰り広げられる日常生活の流転の面白さです。
どんなに万能で何でもかなう物凄い超科学の道具を使いこなしている時でも、「夕飯までに帰らないとママにどやされるぞ」みたいなことをつい思い出してしまう、そんな一人の人間の生活感覚の方がよっぽど奥深くて不可思議でドラマに満ちている。
花びんを割ったことをバラすのバラさないのという、大人から見れば他愛も無いようなことが子供にとっては脅迫のネタになり、まるでこの世の終わりのように真剣に悩んでしまう…子供の頃の世界ってそうでしたよね〜。そういう日常生活上で誰もが覚えたことのある感覚を表現して読者に共感させるのが上手いから面白かったんですよF先生は。


今日のアニメ版ではそうした感覚の再現もしっかり頑張っていましたが、まずこのエピソードを選んだそのチョイス自体に、F漫画的作品を作ることへのスタッフのこだわりを感じますね。
なんかもうわざと世間の「常識あるドラ」のイメージをぶち壊していこうとしている意図すら感じますからね。大山ドラだけで育ってきた人たちには今度のドラが心無い奴に見えて辛いかも知れませんが、「日本一のギャグまんが・ドラえもん」の真の面白さに入門するためには必要な荒行です。

この調子でやっていくといつか「子供に見せたくない番組」に、『クレヨンしんちゃん』に並んで『ドラえもん』が挙げられる日が来るかも知れませんね…上等です。
子供向け漫画というのは、親に「こんなの読んでないで勉強しなさい」って言われても子供たちは隠れてでも読みたがるようなもの…そうでなくてはならないと思います。PTA推奨されるようになってしまってはその漫画は子供向け漫画としては寿命です。


こちらのエピソードでは「ぼくにまかせろ、悪いようにはしない!」というドラのセリフ(「悪いように」って…)や、スネ夫の秘密を知って「しのだひでお風の目」で笑い転げるドラのびが特に笑えるポイントでした。

しのだ目

  • 『ハロー宇宙人』

こっちもこれまた笑ったなぁ…10日間で火星上に10億年単位での生命進化を施して、人為的に火星人文明を発生させる…ってそんなことやっちゃダメだろドラちゃん!!
しかもそんな幾百兆の火星人生命を巻き込み宇宙の歴史を塗り替えるような暴挙を起こす動機が「近所のおじさんにメロンをご馳走になるため」
まさに非日常性を吹き飛ばす恐るべき日常感覚の世界(笑)!
丹念に描かれる火星生命の発達ぶりと、「だんだん進化してるね〜」「ふぁ〜あ、まだかなぁ…あっそんなことより『UFOレンジャー』始まっちゃう!」呑気に観察しているドラのびコンビのギャップが笑えすぎます。
SF(すこしふしぎ)系ギャグ漫画のアニメ化として上々の仕上がりだったのではないでせうか。