ドラえもん

いつも感想しか書いてなかったけど、おおまかなあらすじ程度は入れた方がいいですね。

  • 『おかしなおかしなかさ』

雨のためパパを駅まで迎えにいくのび太。しかし静香に傘を1本貸し、もう1本はジャイアン達に奪われ立ち往生してしまう。駆けつけたドラえもんは秘密道具の傘の数々でパパを無事帰宅させようとするが、出てくる傘は一癖も二癖もあるものばかり…

梅雨時にちなんだ時節もの、であると同時にパパの「いじられキャラ」としての重要なポジションを象徴する作品。パパがメインで出てくる話って、とにかくいじられまくりなんですよね。
これは男の子しか抱かない感覚なのかも知れないですが、今回のエピソードのように父親を駅に迎えにいくなどのようなお手伝いって、家の中でする手伝い以上の何か特別な仕事をしているように感じるんですよね。大人の社会に参加しているような、背伸びできる感覚があってちょっと心が弾んだ記憶が無いでしょうか。
平日の昼間は家にいない父親と一緒に何かをする時間を持つ、という状況の特殊性も関係してるかも。
原作ドラえもんでも、パパがメインに絡んでくる話ではそうしたテンションの高さがドラのびコンビにはあって、それでいつも以上に色々とおせっかいをする…というか多分絶対、真の動機は「面白半分」で色んな道具の効果をパパに試そうとしています(笑)。
最後にはもう雨やんでいるのに「これを届けるために来たんだから、ちゃんと傘をさしてよね!」とわけのわからないワガママを言うし(笑)。でも凄くよく分かる感覚だし、そういう子と父親との会話の中にある家族のつながりみたいなのが滲み出ていてパパネタ作品は大好きです。きっとF先生もそんな面白い父親だったのだろうな。
作品中で出てくる面白傘の数々の描写、そしてそれを勧めるドラと不安がるパパのかけ合いも非常にテンポよく愉快。コウモリ傘なんて飛ぶことが見え見えな道具なのに、パパもうっかり信用して開くなよ(笑)。
まぁそんなこんなで、家庭の中で威厳があってどっしり落ち着いた印象であるべきパパが、秘密道具の奇想天外な効果に振り回されて「ハレー」なんて慌てている様子が、子供の視点を持った読者から見たら楽しくてたまらないわけです。
原作に無かったアイディアの「あいあい傘」で静香ちゃんに冷たい目で見られるのも面白かった。せっかく冒頭で傘貸して点数稼いでたのに…(笑)

  • 『まあまあ棒』

外では先生やジャイアンに、家ではママにと怒られてばかりののび太。特にジャイアンの怒りは理不尽なものばかりだ!というわけで、怒りを鎮める効果のある「まあまあ棒」をドラに出してもらいジャイアンを手なずける。しかしこの道具は怒りを我慢させて無理に溜め込ませるものだったのだ。程々に使う分にはいいが限界を越えると…そうとは知らないスネ夫が棒を手に入れ、調子に乗ってジャイアンをわざと怒らせて我慢させ続ける。

まず冒頭、先生の
「廊下に立ってなさーい!」
C.V.by高木渉氏。
ビーストウォーズリターンズを観ている人はもうこれ聞いただけで噴き出してしまいます。ドラスタッフの人たちはビーストでのチータスの「校長先生」ギャグを聞いて、高木氏を先生役に抜擢したのだろうか…あのネタは思いついた高木氏自身「なんでチータスが校長先生なのかわかんないけど」って言ってるけどな(笑)
そしてまあまあ棒。この道具、試してみたくなりますよねぇ。特に棒を口にあてた後に「まあまあ」っていうのが、凄く真似して「まあまあ、まあまあまあ」って言ってみたくなる。
相手は怒髪天をつく勢いで怒っているのに、こちらは冷静に面白がって眺めながら「まあまあまあ」なんて言っていられるシチュエーションというのが普通まず有り得なくて何かすっごく面白い。
しかしそんなこと言って調子に乗っちゃうと、あの結末が待っているわけです。人語を扱うことも出来ないほどに怒りが溜まったジャイアンの、歩く人間爆弾状態の描写が冴えに冴え渡るスタッフの手腕の見せ所。怪獣映画のようなカット割りだし、なんか白煙あがってるし(笑)
迫る爆発の時、慌てるドラのび、スピード感と興奮が最高潮に高まったところで!
ジャイアンの音痴ゴリラ〜♪」
すべてが止まり一瞬訪れる静寂(笑)。
その直後訪れる大爆発の演出も原作に負けず劣らずのやり過ぎ感に溢れていて最高でしたね。
旧シリーズでは劇場版などでしか出来なかったが、新シリーズとして生まれ変わってから思う存分出来るようになった前衛的な演出工夫の数々が、賑やかなスラップスティックコメディとしての『ドラえもん』を見事に盛り立てています。

次週はたっぷり1時間スペシャル!
これまた時節ものの『天井裏の宇宙戦争』時節ものとはいえよくやるわな。アカンベーダーのベロが思いのほかベロベロ動いていたのが新鮮な予告映像です。アーレ・オッカナ姫とかの名前は忠実に再現されるのかな?
『のろいのカメラ』は「なんだこれ」とのび太が何の気なしにカメラのシャッターに触れた途端「ピカゴロゴロ!」となるコマの唐突なショッキングさが凄く脳裏に焼き付いている作品。この場面を映像的にどう表現するかを楽しみにしようと思う。人形の首切りとか、怖いを越えて今ではヤバいような表現までやってしまうのかな?のかな?